宇宙食を食べてみよう! 宇宙日本食のスペースカレーを食べてみた

みなさん、宇宙食を食べことはありますか?

国際宇宙ステーション(ISS)で宇宙飛行士が食事をしている姿をニュースなどで見たことがあると思いますが、実際に宇宙食を食べたことのある人は少ないかもしれません。

ひとつ前の記事で筑波宇宙センターへ見学に行った話を書きましたが、そのときに自分へのお土産として宇宙食のカレー「スペースカレー」を買いました。
しばらくは食べるのがもったいなくて、大事に戸棚に飾っていたのですが、先日ようやく食べてみました。その感想と、日本宇宙食について簡単にご紹介したいと思います。

日本宇宙食とは

宇宙食の研究は1960年代から始まりました。
最初はクリーム状、ゼリー状の離乳食のような食べ物で、ストローのようなパイプで飲むようにして食べていました。栄養補給の面だけで考えると、これで十分だったかもしれません。

しかし、現場の宇宙飛行士たちからの評判は良くありませんでした。
宇宙飛行士のモチベーションは、そのままミッションの精度に直結します。精神衛生面において、食事はとても大切な要素なのです。そうして宇宙食の研究は進み、次第に種類も増えて地上の食事に近いものになっていきました。

海苔、ビスコ、羊羹。
宇宙日本食。左から、海苔、ビスコ、羊羹。

日本でも宇宙食の研究が行われました。その中で生まれたのが、宇宙日本食です。
宇宙日本食とは、食品メーカーなどが提案する食品について、宇宙食としての基準を満たしているとJAXAが認証した日本独自の宇宙食です。

日本食とはいっても、和食に限りません。
日本の家庭で広く食べられている食事内容に合った食べ物を宇宙食にしたものが宇宙日本食です。今回わたしが筑波宇宙センターで買ってきたカレーが宇宙日本食として認定されているのも、カレーが日本の食事として一般的な料理だからです。

お寿司も宇宙食に

先日見学に行った筑波宇宙センターのスペースドーム内にも宇宙日本食の展示がありました。
ローソンのからあげくん柿の種など、たくさんの宇宙食が並んでいました。

からあげくん
宇宙食になった「からあげくん」
柿の種
柿の種。マヨネーズが隣にあるということは、かけて食べるのか?

2022年6月18日に放送された「オードリーのオールナイトニッポン(ニッポン放送)」に出演した宇宙飛行士の野口聡一氏の話によると、野口氏の要望で宇宙食用の「寿司」が開発されたとのこと。ホタテやシャケなどのネタをフリーズドライにしたものを、宇宙で食べたそうです。
また野口氏は、宇宙食はどうしても似たような味になってしまい、地上で楽しむような食生活は無理だが、そんな中でもJAXAは宇宙食の種類を増やそうと頑張ってくれている、とも話していました。

スペースカレー、食べてみる

では、実際にスペースカレーを食べてみましょう。

スペースカレーパッケージ
スペースカレーのパッケージ。神々しい。

細くバラバラになるような食べ物は、無重力である宇宙での食事には向きません。その点、カレーは粘り気が強いのでスプーンから離れず、宇宙でも食べやすいそうです。

こちらのスペースカレーですが、宇宙用と地上用の違いはパウチの仕様だけで、中身は宇宙飛行士が食べているものと同じらしいです。期待が高まりますね。

スペースカレーパウチ
スペースカレーのパウチ。これは普通のレトルトカレーと変わらない。

宇宙の場合、ISSに用意されているアタッシュケースのような形をしたフードウォーマーで食べ物を温めますが、地上では沸騰した水に5分ほど浸します。

スペースカレー温め中
沸騰したお湯に3分~5分。とても簡単。

できました。レトルトなので当然ではありますが、とても簡単です。
ご飯がルーに対して多くなってしまいましたが、宇宙では味覚が鈍くなることがあるため濃い味付けで作っているそうなので、このルーの量でもきっとご飯2合はいけるはず。

さぁ、どうでしょうか――。

スペースカレー完成
しっかりとお肉も入っていて、嬉しい。

たしかに、味は濃いです。しっかりとカレーの風味はするが、なんだろう、この違和感……。
例えるなら、「カレー味の薬」を食べているような感じでしょうか。商品情報を見てみるとウコンの量が通常品の2倍強に増量されているらしいので、そのせいかもしれません。
全部食べ切りましたが、しばらくは粉薬を飲んだ後のような気持ち悪さが口の中に残りました。

率直な感想を述べると、地上で食べるスペースカレーはまずかったです。

そもそも、宇宙食は宇宙での食事のためにデザインされており、味の面だけでなく、保存性や安全性においても地球上とは違った基準によって開発されています。
きっと宇宙でスペースカレーを食べると、地上とは違った味を感じるのでしょう。いつか宇宙でもスペースカレーを食べてみたいなと、ますます宇宙へのあこがれが強くなりました。

洗った食器
ちなみに、ISSでは食器は洗えないため、ウェットティッシュで拭くだけです。それでも十分キレイになるらしい。

宇宙食は手軽に買える!

JAXA筑波宇宙センターのプラネットキューブには、今回わたしが食べたスペースカレー以外にも様々な宇宙食が売っていました。見学の際には、ぜひチェックしてみてください。
また、ネットでの販売もありますので、遠方に住んでいてなかなか筑波まで行けない方でも手軽に宇宙食を楽しむことができるでしょう。

宇宙がどんどん身近になっている現代。
いずれ人類は地球を離れ、月や火星で生活をするようになるかもしれません。移住は何世代も先になるかもしれませんが、一般人の宇宙旅行ならすでに始まっています。
今はまだ一部の資産家しか払えないような高額な旅費が掛かってしまいますが、いずれは誰でも手軽に宇宙を楽しめる時代がやって来るかもしれません。

旅行の楽しみは人それぞれではありますが、多くの人にとって重要なのが「食」ではないでしょうか。わたしは旅館やホテルの宿泊プランを比較するときに、少しでも夕食の内容が豪華な方を選びますし、旅先の記憶として印象に残っていることは「どんな物を食べたか」だったりします。

これからも宇宙食は進化を続けます。
地球軌道を周回するホテルで食べたものを友人や家族と話すような時代が、そう遠くない未来にやって来るかもしれませんね。

<参考>
・JAXA(https://humans-in-space.jaxa.jp/life/food-in-space/japanese-food/
・大西宇宙飛行士ISS長期滞在活動報告(Vol.20)(https://youtu.be/qrPF8P4ETDg
・オードリーのオールナイトニッポン

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