夏休みにもおすすめ! JAXA筑波宇宙センターのツアーをご紹介

ある夜、ベッドで横になっていたわたしは思いました。

「——そうだ、JAXAに行こう! つくば、つくば! 筑波宇宙センター!」

有料ツアー予約完了画面
思い立ったら、すぐ予約。

というわけで、日本を代表する宇宙研究機関であるJAXA(宇宙航空研究開発機構)筑波宇宙センターへ行ってきましたので、有料ツアーを中心に色々とご紹介させていただきます。

夏休みのお出かけに、筑波で宇宙の魅力に触れるというのもなかなか素敵ではないでしょうか。公共交通でのアクセスやツアー参加時の模様もお伝えしますので、是非ご覧ください。

JAXA筑波宇宙センターとは

筑波山南部に位置する茨城県つくば市には多くの研究機関が集中しており、研究学園都市として発展してきました。そんな地域の中でもひときわ有名なのが、JAXA筑波宇宙センターです。

JAXA筑波宇宙センターの主な業務

・宇宙飛行士の養成
・人口衛星の開発・運用およびデータ解析
・ロケット・輸送システムの開発と技術研究推進

上記のように、筑波宇宙センターはJAXAの中枢として重要な機能を有しています。

そんな筑波宇宙センターでは一般客向けに様々なイベントを企画しており、今回わたしが参加した通年開催の見学ツアー以外にも、科学の面白さを身近に感じることのできる貴重な体験をすることができます。

しかし、近年では新型コロナウイルスの影響でイベントに様々な制限が必須となっており、わたしが見学に行った7月9日(土)時点では、通常は自由に見学ができる展示館「スペースドーム」の入館にも事前予約が必要でした。
予約の有無や見学できる内容は今後の社会状況によって変わる可能性があるため、実際に筑波宇宙センターを訪れる前に公式サイトをチェックしてみてください。

筑波宇宙センターへの道のり

今回は東京都内から「つくばエクスプレス」で現地へ向かいます。

秋葉原駅〜つくば駅を繋いでいる「つくばエクスプレス」は、2005年8月に開業した比較的新しい路線のため駅も電車もきれいです。目的地である筑波宇宙センターの最寄駅は終着駅のつくば駅ですが、路線の両端である秋葉原駅〜つくば駅ですら最短45分という近さのため、車窓の景色を楽しく眺めているとすぐに着いてしまいました。

つくば駅のA4出口からバスターミナルへ向かい、筑波宇宙センターの最寄りの停留所である「物質材料研究機構」に停車するバスに乗ります。こちらの停留所で降り、道路を渡ると、すぐに筑波宇宙センターに着きます。

わたしは4番乗り場から「桜ニュータウン行き」のバスに乗り、8分ほどで現地に到着できましたが、路線によってはぐるっと遠回りをして30分近く掛かってしまうバスもあるので注意してください。

つくば駅バスターミナル4番乗り場1
つくば駅バスターミナル4番乗り場。
つくば駅バスターミナル4番乗り場桜ニュータウン行き
桜ニュータウン行きは約8分で物質材料研究機構へ到着した。

バスを降りて数メートル歩くと、道の向こうにそれらしい物が見えてきます。

間違いない……あれは、H2ロケット

遠目に見えるH2ロケット
バス停の近くからも見えているH2ロケットにテンション上がる。
筑波宇宙センター正面口
やってきました。筑波宇宙センター!

興奮のあまり若干早歩きになりながら横断歩道を渡り、いよいよ敷地内へ。
正面には「JAXA」のロゴが堂々と刻まれたビルがあり、その手前の道路には強い日差しの下で制服を着込んだ警備員が立っています。大変そう。

H2ロケットを右手に見ながら進んでいくと、「E-2 広報・情報棟」と掲示された建物に着きます。
ここで受付を済ませましょう。

受付に向かう途中で撮影したH2ロケット
受付のある「E-2 広報・情報棟」に向かう途中で撮影したH2ロケット。

各施設のご案内

ツアーの話に入る前に、筑波宇宙センターの各施設について簡単にご紹介します。

ロケット広場

正面の入口から入ってきて、まず現れるのがこのロケット広場です。

ロケット広場
ロケット広場で堂々と横たわるH2ロケット。思っていたよりも大きかった。

WebでJAXAを検索していると、必ずこの写真が出てきます。まさにJAXAを象徴する場所だと言えるでしょう。

展示されている本物のH2ロケットは写真で見るよりもずっと大きくて圧倒されました。背後の建物に刻まれたJAXAの文字と一緒に写真を撮るとカッコイイ。

プラネットキューブ

プラネットキューブ
プラネットキューブ入口。物販ブースに多くの人が集まっていた。
物販ブース横のガチャポン
物販ブースにはガチャポンもあります。ついやりたくなる。

ここは企画展示と物販ブースのある倉庫のような場所です。
わたしが行った時は「新しく生まれた宇宙の生活用品展」という展示が行われていました。こぢんまりとしたスペースではありますが、興味深い話がギュッと詰まった素敵な場所でした。

また、プラネットキューブは受付のある「E-2 広報・情報棟」と繋がっていて、外へ出ずに行き来することができます。

スペースドーム

宇宙開発における重要な機器や資料が展示されているのがスペースドームです。

ドリームポート
スペースドーム入り口にある地球の模型、ドリームポート。100万分の1の大きさ。

こちらは筑波宇宙センターにおけるメインの見学場所で、JAXAが開発、運用している衛星の模型やISSにある日本の実験棟「きぼう」のレプリカが展示されています。

1時間ごとにスタッフがスペースドーム内の解説ツアーを行なってくれるので、興味のある方は時間を合わせて参加してみてください。わたしが行った2022年7月9日時点ではスペースドームの見学自体が「予約制」となっていたためか、タイミングよく居合わせた人なら誰でも参加できるようになっていましたが、時期によってはこの解説ツアーも事前予約が必要になるようです。ご注意ください。

スペースドームも要予約
スペースドーム入り口に掲示されていたアナウンス。新型コロナの影響でスペースドームも要予約。

有料ツアーには参加せず、このスペースドーム見学するためだけに筑波宇宙センターを訪れる人も多いでしょう。たくさんの展示物があるため、パネルの説明を読みながらじっくり見ていくと、あっという間に数時間が過ぎてしまうほど。十分見応えがあります。

いざ受付へ

では、本題のツアーの話に戻りましょう。

受付のある「E-2 広報・情報棟」に入ると通路の左右に興味をそそるたくさんの掲示物がありますが、まずは受付へと向かいます。

広報・情報棟の廊下
広報・情報棟に入ってすぐ左手の廊下の途中に受付がある。
受付案内
受付は2つに分かれていて、左がツアー、右がスペースドーム。

わたしは有料ツアースペースドーム見学の両方を申し込んでいましたが、受付はそれぞれ別になっています。わたしの場合は午前中の有料ツアーが終わった後、午後からスペースドームの見学を予約していたので、有料ツアーを終えた後に再びここへ戻ってきてスペースドームの受付を行う、という流れになります。(2022年7月9日現在の状況であり、現在は予約方法が異なる可能性があります)

というわけで、有料ツアーの受付に必要書類を提出します。公式ウェブサイトに下記の3点を必ず用意するように書かれています。

・参加費用(現金のみ)
・参加者名簿(公式サイトから印刷)
・身分証明書(顔写真付きの物。中学、高校生は学生証が必須だが、もし顔写真が付いていなければ保険証も合わせて持参する)

このうち、参加者名簿については現地で白紙のものが用意してありました。
わたしは前日の夜に慌てて物置の奥からプリンターを引っ張り出してきて印刷をしたのですが、事前に用意ができない人は現地で用紙をもらって記入してもOKです。

受付を済ませると、有料ツアー参加者専用のリストバンドを渡されますので、大事に手首に巻きましょう。

有料ツアーのリストバンド
有料ツアーのリストバンド。外したり、無くしたりしないように。
自由見学(スペースドーム)のリストバンド
スペースドーム(自由見学)用のリストバンド。色が違う。

ツアー中は何度もこのリストバンドを確認されるので、外したり捨てたりしないように気をつけてください。

ツアー開始時刻の1時間も前に受付を終えたわたしは、待っているあいだにロケット広場やプラネットキューブを見て回りました。また、受付のある「E-2 広報・情報棟」の通路にはJAXAの宇宙開発に関するパネル展示がたくさん貼られています。

その中でも特に面白かったのが、歴代のミッションごとに作られた名作映画のパロディ風ポスターです。これは是非チェックしてください。

名作映画パロディ風ポスター
名作映画のパロディ風ポスター。真面目な顔でふざけているのが笑える。

ツアー開始!

わたしが参加したツアーの内容は、大きく以下の2つに分けられます。

1.バックヤードの見学
2.ISS国際宇宙ステーション)にある日本の実験棟「きぼう」の運用管制室の見学

筑波宇宙センターの公式ページで予約する際に、一応この内容は把握していました。ですが、詳しいことは極力調べずに来たので、どんなツアーになるのかとても楽しみです。

集合場所である視聴覚室は受付の奥にあります。ツアー中はトイレに行けませんので、しっかりとトイレを済ませてから視聴覚室へ向かいましょう。

視聴覚室の模型
視聴覚室の隅に無造作に置かれていた模型。家に飾りたい。

視聴覚室に着くと、すでに多くの参加者が集まっていました。
ツアー参加者の半数以上が家族連れでしたが、カップルや、おひとりでこられている方もいます。開始時間になると女性スタッフが入ってきて、ツアーの簡単な説明をした後、10分ほど筑波宇宙センターの紹介映像を観ます。

ここで特に印象的だったのは、子供たちが熱心に映像を観ていることでした。
小学校低学年くらいの子や未就学児と思われる子もいましたが、きちんと椅子に座って映像を観ています。みんな本当に宇宙が好きなんだなということが彼らの背中からひしひしと感じられ、この中に将来宇宙開発の仕事に携わる子もいるかもしれないな、などと思うとなんだか胸が熱くなりました。

映像が終わると、スタッフに促されて外に停車してあるバスへと向かいます。そう、バスです。
なんとこの有料ツアーは、施設内をバスで移動するのです!

ツアーのバス
ツアーのバス。小学生の頃のバスツアーを思い出す。

リストバンドを提示してバスに乗り込みます。出発すると、先ほど視聴覚室で説明をしてくれた女性スタッフの方が運転席の横に立ち、マイクを持って筑波宇宙センターの各施設や、JAXAについて話し始めます。本格的にツアーらしくなってきて、否応なくテンションが上がります。

ですが目的地は意外と近く、スタッフのガイドを楽しむ間もなくすぐにバスは「バックヤード」に着いてしまいました。

最初に筑波宇宙センターに入ってきたときに警備員が立っていた道路の奥が、一般客が立ち入り禁止のプライベートエリアです。プライベートエリアに入って数百メートルほど進んだところにバックヤードがありました。

宇宙服
様々な宇宙服が飾られていた。
測地実験衛星「あじさい」
ミラーボールのような測地実験衛星「あじさい」。家に飾りたい。

バックヤードの中には衛星の試験機や宇宙服などが展示されています。
ずっとわたしたちに付き添っている女性スタッフが、ひとつずつ丁寧に展示を説明してくれます。このバックヤードは写真撮影OKなので、夢中で撮りまくりました。

衛星や機材が展示されているのはスペースドームと同じですが、こちらでは実際に宇宙で使用された機材なども展示されています。

実際に宇宙から帰ってきたカプセル
実際に宇宙から帰ってきたカプセル。さすが、風格が違う。

バックヤードの次は管制室の見学です。再びバスに乗り込み、次の施設を目指します。

ちなみに、バスでの移動中にプライベートエリアの景色を撮影するのは保安上の理由から禁止されていました。
そのため写真はありませんが、プライベートエリアは大学の構内のような雰囲気で、まさに研究を行っている場所、といった感じでした。

管制室のある建物に着くと、ツアー参加者は2組に分けられました。一度に全員が参加できないため、前半と後半に分けて見学をするとのこと。わたしは前半組だったため、先にバスを下りました。

管制室の撮影も禁止されていて、建物に入ったところで撮影機器(スマートフォンも含む)をラックに預けさせられます。さすがは国際宇宙ステーションと繋がる管制室だけあり、セキュリティは厳重。

「きぼう」日本実験棟の模型
管制室のある建物の入り口にあった「きぼう」日本実験棟の模型。20分の1スケール。家に飾りたい。

管制室の見学といっても室内に直接入れるわけではなく、隣接する小部屋からガラス窓越しに管制官の方々の業務風景を眺めることになります。

小部屋に入ってからしばらくは窓にブラインドが降ろされていて、管制室中の様子は分かりません。
壁に掛かった小型ディスプレイから管制室の紹介映像が流れ、その映像が終わる直前にブラインドがゆっくりと上がっていきます。
ちょうど映像が終わった、その時。横長のデスクの上に並んだ多くのPCや、奥の壁に掛かっている大型ディスプレイなど、テレビで何度も見たことのある光景が広がります。

付き添っているスタッフが管制室内の説明をしてくれているあいだ、子供たちはガラス窓に張り付いて夢中で管制室を見つめていました。そんな子供たちに気づいた管制官の方々は、何度もこちらへ振り返って手を振ってくれました。
そんな管制官の方に対して、子供だけでなく、大人も含めたその小部屋にいた全員が大きく手を振り返していて、なんだかとてもほっこりとした気持ちになりました。

わたしが参加した午前のツアーだと、管制室の見学がちょうどお昼の時間にあたるため、管制官の多くがお昼休み中で人はまばらでした。
スタッフの話だと午後のツアーではもっと多くの管制官が仕事をしている様子が見られるとのことだったので、興味がある方は午後のツアーに参加されたほうが良いかもしれません。

管制室のある建物ロビーのJAXAロゴ
管制室のある建物ロビーのJAXAロゴ。ツアー参加者はみんなこの前で記念写真を撮っていた。

楽しい時間は早く感じるものですが、70分のツアーもあっという間に過ぎていきました。

建物を出てバスに乗り込み、受付のある「E-2 広報・情報棟」前まで戻ってくるとツアーは終了です。
バスを降り、そのまま解散。名残を惜しみながら、バスを離れました。

終わりに

ツアーに参加した感想ですが、とにかく楽しかったです。

実際に宇宙で使用されていた機材やISSと繋がっている管制室の見学は十分に見応えがありますし、スタッフの方の丁寧な説明もとても興味深く、短い時間ではありましたが想像以上に楽しむことができました。500円の参加費以上の価値は間違いなくあります。しかも、高校生以下は無料です。

今回はツアーを中心に書きましたが、無料で見学できるスペースドームだけを目当てに訪れても十分に楽しめます。筑波宇宙センターで一般客が入れるスペースはそれほど広くありませんが、ひとつひとつの展示内容が濃いため、じっくりと見ていくと時間が足りないほどです。

その一方、スペースドーム入り口にある地球の模型や、ちょっとした小屋ほどの大きさがある衛星のレプリカなどは、小難しい仕組みよりもインパクトに惹かれるお子様にもピッタリ。あまり時間が取れない時にちょっと立ち寄るだけでも、良い思い出として記憶に残ることでしょう。

お帰りの際はプラネットキューブでのお土産も要チェックです。わたしは30分も悩んだ挙句、結局8,000円分も自分へのお土産を買ってしまいました。
もちろん、後悔はありません。あと2枚くらいTシャツ買えばよかった。

自分へのお土産
戦利品:はやぶさ2のTシャツ、JAXAのポロシャツ、まんまるカステラ、宇宙食カレー×2

時間の空いた休日に、筑波で宇宙の魅力に触れてみてはいかがでしょうか。

遠い宇宙を身近で感じることのできる筑波宇宙センター。
堂々と横たわるH2ロケットが、いつでもあなたを待っています。

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