恒星の生涯が劇的すぎる件

恒星とは、地球や月などの惑星や衛星とは違い、自ら光を放っている天体の総称です。
わたしたちの暮らす太陽系では太陽が唯一の恒星です。

ちなみに、なぜ太陽のような星を恒星と呼ぶのでしょうか。

地球から肉眼で観測することができる夜空の星の多くは、特定の位置から動くことがありません。これらの星々を「恒常的に位置が固定されている星」という意味で恒星と呼んだのです。この性質を利用して、多くの星座が考案されました。
一方、火星や金星などの日毎に位置を変えていく天体を「さまよう星」という意味で惑星と名付けたのです。

やがて科学が発展し、夜空に光る無数の恒星と太陽が同類であると分かってからは、太陽も恒星の仲間入りをすることになりました。

恒星の形成

恒星がどのように作られるのかについては以前に書いた「太陽とは何か」という記事でも触れていますが、こちらでもざっくりと説明します。

輝線星雲
恒星を育む星雲 Photo by ESO / CC BY 4.0

長い時間の中で、宇宙空間を漂っている水素やヘリウムなどの星間ガス、炭素やケイ素などから作られる宇宙塵などが寄り集まり、星間雲と呼ばれる集合体が作られることがあります。

これはその名のとおり雲のように漂っていますが、他の星間雲との衝突や超新星爆発の余波などをきっかけにバランスが崩れ、収縮を始めます。

そうして次第に密度を増して温度が高まっていき、中心部の温度が1000万℃を超えると核融合反応が起こります。核融合とは原子核同士が合体して別の原子核に変化するというもので、その際に発生する莫大なエネルギーが光として外部へ放出されます。

こうして安定的にエネルギーを放出し始めた星は「主系列星」と呼ばれます。多くの恒星はこの主系列星として大半の時間を過ごし、長いあいだ宇宙を明るく照らし続けるのです。

恒星の進化

恒星は質量の違いにより、進化の過程や最期が大きく異なります。それぞれ見てみましょう。

恒星の進化
恒星進化の系統

太陽の0.08倍以下の質量の場合

質量が小さいため中心部の温度が上がらず、核融合反応が起こりません。
こういった星は恒星にはなれず、褐色矮星と呼ばれる暗い天体となります。

核融合を起こしていないため太陽やその他の恒星に見られるような明確な終末期もなく、ひっそりと宇宙を漂い続けます。

褐色矮星
褐色矮星の想像図 Photo by NASA / JPL-Caltech

太陽の0.08倍〜8倍以下の質量の場合

数十億年にわたり主系列星として安定した活動を続けますが、やがて中心核の水素を核融合で使い果たしてしまうと、重力によって収縮しようとする力と外側へ膨張しようとする力のバランスが崩れます。
その結果、元の恒星の数百倍もの大きさにまで膨らんでしまい、赤色巨星と呼ばれる巨大な星になります。

太陽の一生を描いた想像図。右から二番目の赤く大きな星が赤色巨星 Photo by ESO / S. Steinhöfel / CC BY 4.0

その後、中心から離れた重力の弱い表面部分から徐々にガスが放出されていき、全て放出されてしまうと白色矮星という星が中心部に残ります。
この星は太陽の中心部分が重力でどんどん収縮していき、「もうこれ以上詰め込めない!」という限界まで収縮し切ることで作られます。そのため、大きさは地球ほどしかないのに太陽くらいの重さがある、という非常に重い星です。

惑星状星雲と白色矮星
惑星状星雲の中央で光る白色矮星 Photo by ESO / P. Weilbacher (AIP) / CC BY 4.0

太陽の8倍〜25倍の質量の場合

質量が大きくなればなるほど、その恒星の重力は強くなります。重力が強いということは、中心核がより圧縮されて高温になるということです。

そのため太陽程度の質量の恒星よりも激しく核融合反応が起こることになり、より短い期間のあいだに水素を使い切ってしまいます。太陽の寿命は約100億年ほどとされていますが、このタイプの恒星の寿命は約2000万年ほどです。

青色巨星
太陽よりもずっと大きく明るい恒星である青色巨星の想像図 Photo by NASA

このタイプの恒星は水素、ヘリウムの核融合が終わった後もさらに反応が続いていきます。水素からヘリウム、そのヘリウムから炭素・酸素が作られます。そうして核融合が進んでいき、最終的に中心核でが作られます。

鉄ができると核融合反応は止まってしまい、恒星は強い重力によって収縮を始めます。その収縮は凄まじく、原子核を形作る粒子の一つである中性子のかたまり、中性子星という直径10キロほどの星を生み出します。この星は前述の白色矮星よりもさらに重く、1立方メートルあたり1017Kgというとてつもなく重い星です。

その後も恒星は中心部へと向かって収縮していきますが、やがて中性子星にぶつかってそれ以上収縮ができなくなります。その反動で発生する衝撃波によって、恒星の外層は吹き飛んでしまいます。
恒星が迎えるこの華々しい最期は、超新星爆発と呼ばれます。

この劇的な結末の中心部には中性子星が残り、吹き飛ばされた外層は超新星残骸と呼ばれる新たな星の原材料として宇宙空間へ拡散していきます。

中性子星
ジェットを放出する中性子星の想像図 Photo by ESO / L. Calçada / adapted.

太陽の25倍以上の質量の場合

このタイプの恒星も8倍〜25倍の恒星と同様、核融合反応によって鉄が作られた後に超新星爆発を起こします。

ただし、中心核にできるのは中性子星ではありません。あまりにも重力が強すぎるため、中性子星ができた後もさらに核の収縮が続いていきます。そうして形成されるのがブラックホールです。

ブラックホール
ブラックホールの想像図 Photo by NASA / JPL-Caltech

宇宙にまったく興味がなくても、ブラックホールという言葉を知っている人は多いでしょう。

この天体は重力があまりにも強すぎるため、周囲の物質が中へ取り込まれると外へ抜け出すことはほぼ不可能です。すらもその重力に囚われて外へ出てくることができないため、ブラックホールを観測しようとしても内部を観ることができません。わたしたちの目には、黒く塗りつぶされた領域としか映らないのです。

ブラックホールはかつては理論的に存在が示されるだけの天体でしたが、2019年には史上初めてブラックホールの境界である事象の地平面直接撮影した映像が公開されて大きく注目を集めました。

事象の地平面
史上初めて撮影されたブラックホールの境界、事象の地平面 Photo by EHT Collaboration / CC BY 4.0

終わりに

形成時に抱え込んだ物質の量によって恒星の一生は大きく変わりますが、より明るく光る星ほどすぐに燃え尽きてしまうというのはどことなく寓話的にも思えます。

恒星のコアは白色矮星や中性子星、ブラックホールなどへと進化していきますが、残されるものはそれだけではありません。
終末に宇宙空間へと放出するガスや元素は、新たな恒星や惑星を生み出すための材料となります。わたしたちにとってかけがえのない太陽や地球も、遥かな過去に存在した太古の星々の残滓から生まれました。

太陽や地球だけではありません。わたしたちの体を構成する物質も、元を辿ればかつて存在した恒星の活動によって作り出されました。それらが宇宙へと広がり、数十億年もの歳月をかけた後に、こうしてわたしたちの体を形成することになったのです。

宇宙は壮大で、とても不思議です。
恒星の一生を想うとき、遥かな過去とわたしたちが繋がっているのだということを改めて感じ、背筋がしゃんと伸びるような気持になります。

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